2002/3/10

 人を好きにならないのって本当に無理。私はこれだから人生がうまくいかない。友達だか恋人だかわかなくなってしまう、だめだ、私は男の人を好きになったことがないので、それは嘘、付き合った事がないので、よくわからない、今も何を書いているのかよくわからない。友達でいようって言ってくれた、だから、もう怖くないです。

 今更ですが「ビーチ」を観ました、デカプリオの。「地獄の黙示録」を大好きな私は、なんでダニーボイルがパロディを撮ったのかかわからなくて、楽しい気持ちと淋しい気持ちがないまぜになった、不思議な時間を過ごしました。ダニーボイルはヴァーチャルな世界観とそこに生きる人間が嫌いなのかなあ、希望をもってあれを描いたんだとしたら、随分ひどい話だ。「地獄の黙示録」を観た事の無い人は、楽しめると思います、普通に。そうでもないか。


2002/3/9

 文子の誕生日に、欲しがっていた本をあげようと思って、絶版なので古書店で探して買ってきたら誕生日が過ぎていたので、私は人の誕生日を覚えるのが苦手で、そういう事を忘れない人は本当にうらやましくて、でも憶えられなくて、ひどい事をしたというのはわかっているんだけど、どうしようもなくて、その人の事はいつでも思い出すのに、時間や日付が関わると思い出せなくて、誕生日の日も電話しようと思って、でもなぜか誕生日だという事は忘れていて、それで次の日に思い出して、驚かせようと思ってメールを送ったら「あなたは人の事を全然考えていないから酷い人だ」という返事が来て、私は今度こそ本当に許してはもらえないんだな、と思って、本棚には私の持っていたその本と買ってきた本が二冊あって、同じ本を持っている、ということでなにか特別な気持ちになろうとしていた自分が、あまりにも愚かで情けなくて、私はばかだから本当に好きな人の為に何もできないし、ばかな失敗をたくさんしてしまうので、もう二度と人を好きにならないようにしようと思いました。

 同じ本が二冊あっても仕方ないので、誰か欲しい人がいたら適正価格で譲ります。

買った本

筒井康隆「驚愕の曠野」河出書房新社刊


2002/3/7

 現実逃避したつもりが、現実に考えなければならない事を提示して終わる、というところに「ロードオブザリング」第一部に対する不満があるのではないかなあ、などと、一人で劇場に来ていた私は、隣の席のカップルが「なによこれ」「続くって事かなあ」なんて言っていたのを聞いて思ったのですが、まあこじつけですね。ともあれ「薬物中毒とその対処法」なんて副題を付けたくなる「指輪物語」なんですが、映画にも出てきた「パイプ草」はどうも大麻っぽい位置付けだぞ、なんて事を立ち読みした原作から読み取る私は、大いに楽しみました。次は「Hedwig & The Angryinch」を観に行きます。


2002/3/5

 ここ数日、ずいぶんと平らな気持ちで過ごしています。テレビに流れる車のCMにピエール瀧が出ていて、ああ、昔、八王子の方に友達と瀧を見る為だけに、小さなクラブを、場所も知らないのに探しに行って、ど、ど、と低音が聞こえる場所に行ったらそこだったなあ、とか、オートマティクスという、新宿にあったクラブで、瀧とバーチャファイターをやったなあ、とか、フロアが2階に分かれていて、上の階で私と戦っている瀧のところに行った友達が「瀧が『こいつ結構強えー』って言ってたよ!」って言ったり、したなあ、なんて事を思い出したり、あれは何才の時だっけ、19、さい、か。 私ってばかだなあ、忘れていた、私がとてもしあわせだったって事を、忘れていた。 これからは忘れないようにしよう、悲しくなったら、いろいろな楽しい事を思いだして、自信を取り戻そう。私はちゃんとやれる、ちゃんと生きていけてる、だいじょうぶ、だいじょうぶ。


2002/3/3

 私は自分の良いところと悪いところがよくわかっていて、人が私のどういうところを良いと思って、どういうところを悪いと思うのかも、よくわかっているのだけれど、私の良いところと悪いところは、実は同じところで、そもそもの考え方の基本になっている事なので、そうそう変えようがない。それは、今までの人生を決めるうえで、とても大きなくるしみの原因になってきた。なぜかと言うと、私のこの性質は、人を大きく傷つけてしまう事があるからだ。私は人を楽しい気持ちにできない。私は世の中のほとんどが私を敵視したり無視したりしているような気がして、いつも吐き気がしていた。なのに私は人を好きになったり、一人でいるのに疲れたりして、誰かを求めてしまう、いつもさいごは、悲しい気持ちになるのがわかっているのに。

 私は機械になりたい、よろこびもかなしみも感じる事のない、機械になりたい、そして誰かの役に立ちたい、エレベーターのような、モーターになりたい。なのに私はまた人間として人間のように人間を傷つけてしまう。私は機械になりたい、人を傷つけたら壊されてしまう機械になりたい、間違えたらそれでおしまいの、完全主義者の所有物になりたい。

 それで私は傷ついても悲しくならない。

 私は機械になりたい。


2002/2/28

 私は自分の事を強い強いと思っていて、だから随分無理をしてるらしくて、それで色々な人に迷惑をかけてしまう。それでも弱い自分、というのはとても見たくないし、そんなはずがないと思い込んで、また無理をしてしまう。こうやって無理をしていると、頭の見えないところが大きく膨れ上がって、終いには音を立てて、ペリペリペリとはぜてしまう。そうなるともう、格好をつけていた普段の自分などすっかり忘れてしまって、大きな声で怒鳴ったり、あばれたり、泣いたり、とてもひどい事を言ったりする。そうして色々な人に私は呆れられて、私もそういう姿を見せてしまった人にもう一度会うのが怖くて、連絡を絶ったりしてしまう。だから私は人との付き合いが三年続いた事がないのです。

 先日の信用できる友達は、私の事をいくぶん持て余しながら、それでも必要だと言ってくれました、私には価値があると言ってくれました、私はそれが本当にうれしくて、また泣いてしまいました。ずいぶん変な顔で泣いていたのだと思います、友達は煙草の煙ををぷかあと吐きながら、私の頭をなでてくれました。私より背の小さな友達は、ちょっと背伸びして、私の頭をなでました、私はそれが可笑しくて、笑いました。とても変な顔で笑いました。

友達はなんで私が笑ってるのかわからなくて、でも笑ってくれました。

私はそれで、もう、だめじゃないんだなあ、と思ったのです。


2002/2/26

 私にはとても信用できる友達がいて、その人は私にとって、本当に、心から信用できる友達で、その人にとっても私は信用できる友達だったのだけれど、最近の私ときたら、どうしようもなくて、とうとう愛想を尽かされてしまって「あなたが重荷です」ってメールが来て、とても悲しかったから「もう会わない方がいいですか」って返事を書いたら、それから返事が来なくて、電話もできなくて、会いたいけど嫌われるのは嫌だから、これ以上嫌われるのは嫌だから連絡もできなくて、それでここにこんな文章を書いているのは、その人もここを見ている事を前提にしていて、私が言いたいのは、本当に今までありがとうってことで、それでも価値を失ってしまった私は、ただ一人の理想の読者を失ってしまった私は、これから何のために、どうやって何を書けば良いのかもわからなくて、考えるのも苦しくて、こんな事ならやっぱり友達なんて要らなかったし、信用なんてするんじゃなかった、なんて言葉しか思いつかない、私が人に嫌われるのは、私に普遍的な価値がないからで、自分の無価値さに気づかされるのは本当に苦痛だし、人間と関わると楽しい事も哀しい事も起こるから嫌だ、一緒に行きたいところもたくさんあったのに、全部だめになってしまった、もうなにもかもが、だめになってしまった。


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